今回も前回に引き続き消費税の計算方法を確認したいと思います。
今回は前回と同じ前提を簡易課税制度で計算した場合どうなるか確認します。
【 前提 】
〇 個人事業主
〇 飲食店経営
〇 開業3年目で、今回初めて消費税の課税事業者となり、翌年も課税事業者になる
〇 基準期間における課税売上高 12,000,000円
〇 税込経理をしている
※ 下記の課否判定はあくまで例です(内容によって判定が異なります)
【 決算書 】
科 目 | 金 額 | 課否判定 |
売上(収入)金額 | 25,990,000 | 飲食店での売上で全額課税売上 |
期首商品(製品)棚卸高 | 324,000 | 免税期間に購入 |
仕入金額 | 8,100,000 | 食材の仕入 |
小計 | 8,424,000 | |
期末商品(製品)棚卸高 | 270,000 | |
差引原価 | 8,154,000 | |
差引金額 | 17,836,000 |
租税公課 | 100,000 | 印紙税等の税金ですべて非課税仕入 |
水道光熱費 | 864,000 | すべて課税仕入 |
通信費 | 259,000 | 国内取引のみですべて課税仕入 |
減価償却費 | 108,000 | 課税仕入に該当しない |
給料賃金 | 3,000,000 | アルバイトへの給与ですべて不課税 |
地代家賃 | 4,536,000 | 店舗の賃借料ですべて課税仕入 |
計 | 8,867,000 |
差引金額 | 8,969,000 | |
専従者給与 | 1,020,000 | すべて不課税 |
青色申告特別控除前の所得金額 | 7,949,000 | |
青色申告特別控除 | 650,000 | |
所得金額 | 7,299,000 |
なお、業務用冷蔵庫を302,400円(税込)で購入している。
Contents
簡易課税制度の場合の計算方法
消費税は、お客さんから預かった消費税から、自分が支払った消費税を差し引いた残額を納付します。通常の計算方法では、自分が支払った消費税の金額を細かく集計する必要がありますが、簡易課税制度で計算する場合、「お客さんから預かった消費税 × みなし仕入率」で計算した金額を自分が支払った消費税とみなして、お客さんから預かった消費税から差し引くことができます。
仕入に係る消費税を分類・集計しなくて済むので簡単に計算できます。
みなし仕入率は、業種に応じて以下のように定められています。
事業区分 | みなし仕入率 | |
第1種 | 90% | 卸売業(購入した商品を性質、形状を変更しないで他の事業者に販売する事業) |
第2種 | 80% | 小売業(購入した商品を性質、形状を変更しないで販売する事業で第一種以外のもの) |
第3種 | 70% | 農業、林業、漁業、鉱業、建設業、製造業(製造小売業を含む)など (平成31年(2019年)10月1日を含む課税期間(同日前の取引は除く)からは、農業、林業、漁業のうち、軽減税率が適用される飲食料品の譲渡に係る事業区分が第三種から第二種に変更) |
第4種 | 60% | 飲食店業など(第一種、第二種、第三種、第五種および第六種以外) なお、第三種から除かれる加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を行う事業を含む(解体工事業、主材料を自ら調達しない手間請負事業など) |
第5種 | 50% | 運輸通信業、金融・保険業 、サービス業(飲食店業に該当する事業を除く)など |
第6種 | 40% | 不動産業 |
今回の例では飲食店を経営しているので、第4種事業に該当します。
売上に係る消費税額の計算
税込経理をしているので売上高には8%分の消費税が含まれています。
まずは100/108を乗じて税抜金額にします。1,000円未満の端数が生じたときは切り捨てます。
これが消費税が課される金額(課税標準額)です。
25,990,000円 ÷ 100/108 = 24,064,814 ⇒ 24,064,000
課税標準額に国税分の税率を乗じて消費税額を算定します。
24,064,000 × 6.3% = 1,516,032
控除税額の計算
売上に係る消費税額にみなし仕入率を乗じて計算します。
仕入・経費・固定資産の購入、前年からの繰越在庫など一切考慮する必要はありません。
納付税額の計算(国税分)
売上に係る消費税から、みなし仕入率を用いて計算した仕入に係る消費税を差し引いて計算します。
計算結果に100円未満の端数を生じたときは切り捨てます。
1,516,032 ― 909,619 = 606,413 ⇒ 606,400
地方消費税(譲渡割額)の計算
地方消費税は、国税である消費税額に17/63を乗じて計算します。
計算結果に100円未満の端数を生じたときは切り捨てます。
606,400 × 17/63 = 163,631 ⇒ 163,600
納付税額の計算(消費税と地方消費税の合計額)
606,400 + 163,600 = 770,000
簡易課税制度で計算した結果、前回の原則計算よりも納税額が少なくなりました。
原則課税と簡易課税、どちらを選択すれば税額が少なくなるかは、条件により異なってくるので、どちらが得か予測して選択する必要があります。
ただし、簡易課税制度を選択すると2年間は強制的に適用されるので注意が必要です。
簡易課税制度を選択する場合
簡易課税制度を選択するときは、適用を受けようとする課税期間の初日の前日まで(事業を開始した日の属する課税期間である場合には、その課税期間中)に、消費税簡易課税制度選択届出書を納税地を所轄する税務署長に提出します。
ただし、簡易課税制度を選択しても、基準期間の課税売上高が5,000万円を超えるときは、簡易課税制度を適用することはできません。
【 ひとりごと 】
ホームページに顔写真を載せたほうがいいとアドバイスを受けたので、ペットと一緒に写っているラフな写真をアップしようと思ったのですが
と周りから却下されてしまいました。
まあそうですね。ラフすぎると胡散臭いですもんね。。。
近々それ用の写真を用意する(予定です)。
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